のづ記

Twitterは@shin_notturiaです。本とかゲームとか怖い話とか。

【ゲームの話】蒲生氏郷という脅威

皆さんこんにちは、のづです。
今日は戦国無双新作をめぐる状況で、少しだけ危惧すべき要素が強まったので急遽記事をアップしました。

さて、もはや改めて言うまでもありませんが、私は愛姫参戦急進派と自称して差し支えないのないスタンスにあり、新作においては何にも先に愛姫がプレイアブルキャラクター化することを希望しております。そんな立場の私が書くものですので、当エントリも「愛姫参戦に関して影響を与えうる因子のバランスに変化があった」という報告ないし妄言と思ってください。

結論から申しますと、今回その変化をもたらした因子というのが蒲生氏郷という人物です。好きのいう方も初めて名前を聞いたという方もいらっしゃるでしょうから、ごくごく簡単に人物紹介をしておきましょう。


蒲生氏郷という人物】
蒲生氏郷(1556〜1595)は近江(現滋賀県)生まれの戦国武将で、幼少より秀才で知られており、あの織田信長の次女を正室として迎えられる程の信頼を得ます。
本能寺の変で信長が横死すると秀吉に従い、賤ヶ岳の戦い小牧・長久手の戦い小田原征伐と、いずれも秀吉を天下人に躍進させた数々の重要な戦で活躍をします。
秀吉の天下統一後、蒲生家は会津に移ります。豊臣への臣従が最も遅れた伊達家を抑える役目もあったのでしょう。葛西大崎一揆の鎮圧にも貢献。この一揆の首謀者は伊達政宗であると告発したのも氏郷です。
まさに実も花もある男といった氏郷ですが、文禄四年(1595年)に伏見の屋敷にて40歳の若さで病没します。

【氏郷にはキャラ付要素がいっぱい】
私はコーエーテクモの関係者でもないので社内の選定基準は分かりませんが、数多の戦国武将の中から戦国無双のPCに選ばれるには

1,発表して名前だけでも盛り上がるな知名
2,「無双武将」に相応しい勇敢さを表す逸話
3,デザインに困らぬ所用の甲冑やゆかりの品
4,既存の無双武将と多く接点を持っている事

これらの点が重視されるであろうことは想像に難くありません。
では、蒲生氏郷をこの4つの基準に当てはめるとどのような評価になるかを見てみましょう。


1,知名度
ここは判断が難しいところです。大河ドラマなどはとりあえず最初の数話は必ず毎年見るようないわゆる歴史ファン、モチーフにしていると一度はどのような取り入れ方をしているか一応見てしまうような戦国時代ファンの間では、蒲生氏郷は間違いなく高い知名度を誇ります。
しかしながらソレはあくまで「コアな」ファンの間であり、ここを基準に持ってくるのは下策でしょう。極端な例ですが、氏郷と信長を同程度の認知度と思って扱うと、圧倒的大多数の非歴史ファンを置いてけぼりにしてしまいます。
また、少し矛盾するようですが、近年の無双においては知名度という尺度は若干後回しにされがち*1な傾向もあるので、この話は一旦置いておきましょう。

2,逸話
逸話は主にPC化した際の性格、キャラ付に影響します。この点に関して氏郷は圧倒的なアドバンテージを持っています。
蒲生家では評定にて自由闊達な議論が励行されており、当時では最高級のもてなしとされた風呂を当主の氏郷自らが入れて家臣をねぎらうという特異なまでの団結力を見せます。夜の番で寝落ちするのを防ぐため、博打を許可するなど柔軟性ある人物だったのでしょう。
先に述べた会津に移ったのも秀吉は氏郷の才覚を恐れて上方から外したなどという記録もある一方で秀吉をして百万の兵を率いらせるに相応しい人物と評されたという逸話を持ちます。秀吉が氏郷を恐れていたか否かは判断しかねますが、いずれにせよその武勇も当時から高く評価されていたようです。
会津に移ったのに、寒冷な気候に下がる士気を高めるために裸に鎧を着込んで兵を鼓舞するというtiktokの体を張った芸のようなこともしており、利休七哲の筆頭である当時トップクラスの教養人でありながら豪胆な一面も持つ人柄だったのでしょう。
また、氏郷はキリシタン大名でもありレオンという名も持っています。宗教色を可能な限り漂白する傾向にある戦国無双において、直接的な描写は難しいのですが、コレもキャラ付において使える要素の一つです。


3,ゆかりの品々
氏郷の所用として伝わる燕尾形兜は、数ある奇抜な鎧兜の中でも有数のデザイン性を誇ります。黒一色の甲冑に、二股に伸びたシャープな兜。
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ネットでは蒲生氏郷をアメコミヒーローの代表格であるバットマンとの愛称も見受けられますが、ソレはこの甲冑に由来します。コーエーの他作品においてもこの鎧をベースにしたデザインで登場する事も多いです。大幅なアレンジを加えずともデザインとして映えるシンボリックな甲冑を持つというのは非常に大きなアドバンテージと言っていいでしょう。

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信長の野望 創造』での蒲生氏郷


4,既存無双武将との接点
上で述べた通り、氏郷は信長が娘を嫁がせるほどの名門であり、秀吉が警戒するほどの俊英なだけでなく、彼の後半生にて度々伊達政宗と戦うことになります。
政宗がスパイとして小姓を送り込むも露見する。氏郷は年少にして命をとして任務を遂行しようとした小姓を重んじて、政宗のもとに送還した。
②伊達家と蒲生家の領土が隣接しており、何かにつけて争った。
③氏郷が政宗の陣に寄ったとき、政宗が茶に毒を仕込んだが、情報を得ていた氏郷は難を逃れ、街道沿いを放火して報復した

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戦乱期とは言えお前…

それぞれの真偽は置いておくにせよ、とにかく何かにつけて争う水と油の関係だったようです。
以上4観点から見ても、氏郷はキャラ付けするネタに事欠かず、デザインも非常に分かりやすく人口に膾炙するものを作りやすい極めて優秀な人材と言えます。


【なぜ今蒲生氏郷参戦論なのか】
当ブログでも何度か紹介してきました『仁王2』にて、無料大型アップデートver1.09の配信がありました。ここでの配信内容は

・100万本販売を記念した装備の配布
フォトモードの実装
・新規ステージの追加
・各種バグの修正

の4点です。この中の追加ステージに麒麟児の誘い』というものがありました。前作『仁王』から見られた一対一の決闘型ミッションで、ボス戦単体を楽しめるものです。ここでの決闘相手が蒲生氏郷なのです。決闘型ミッションの多くはメインストーリーで戦ったボスですが、時折ストーリー上戦うことのないキャラクターとも試合や稽古という形で戦うことができます。
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 では『仁王2』において蒲生氏郷がメインストーリー上で戦ったり、キャラが濃いながらも、戦うことが適わなかったかというと、全くそんなことはなく、とあるサブミッションのラストに顔出しをする程度の目立ち方でした。にもかかわらず今回のアップデートで専用ステージをもらう明らかな好待遇*2です。
 『仁王』に出る人物全員が無双シリーズにてPC化することが確約されているわけではありませんが、同社の製品同士である以上、ある程度のデザイン・キャラ付け・扱いの良しあしなどは似た傾向にあるとみて問題ないでしょう。要するに、ここにきて蒲生氏郷が参戦するフラグなのではという要素が強まったわけです。

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『仁王2』での蒲生氏郷。やはり燕尾形兜と黒い甲冑で、「麒麟児の誘い」では二刀流と鉄砲を使う。

【氏郷参戦は愛姫を阻むか】
 前項で示した通り、氏郷が最も接点を多く持つであろう既存の無双武将は織田信長豊臣秀吉伊達政宗三者ですが無双の信長は魔王然としたキャラ付けで「この才ある若者に愛娘を託そう!」という人間的な逸話は少々難しい気もします(2以降はなんか変なモラリストですが)。秀吉は交友関係過多を起こしており、逸話の多さ・濃さを見ても伊達政宗と関わるのが妥当でしょう。
 政宗犬猿の仲の氏郷が追加された場合、貴重なPC枠*3にもう一人伊達家に2つも割けるでしょうか?氏郷参戦は政宗の物語を厚くするうえで欠かせず、私も希望している武将の一人です。しかしながら、再三申すように私の希望は一にも二にも愛姫参戦ですので、手放しに喜べぬというところです。無論これは他シリーズでの動きから邪推したものではありますが、かれこれ10年以上愛姫参戦を訴えている身としては、気がつくとモンペ気味になってしまうんですね。










難癖つけて蒲生氏郷を敬遠するあたり、本格的に伊達家の人間になってきた気がする。

*1:茶々はその後出たけど、まつや茶々より先に早川殿や小少将が出ると思わないじゃん…

*2:前作でもサブミッションでのみ登場した佐々木小次郎との決闘ステージがあったので、決して氏郷が初の例というわけではない。

*3:ナンバリングタイトルでも8~9人の追加