最近と題しましたが、ブログを確認してみたら最後に紹介していたのが『奇奇奇譚編集部』の第二巻だったので、かなり時間が空いていますね…。
【本の話】
織守きょうや『響野怪談』(角川ホラー文庫)
”男所帯の末っ子、春希は怖がりなのに霊感が強い…。そんな春希の身の回りに起こる小さいけれど、ふわっとお腹の下の方が冷えるようなホラー小説”
話は進みながらも短編集的な構成のため、サクサク読めたのが良かったです。中学生ならではの世界の狭さとか、出てくるシチュエーションがノスタルジックな気分にさせてくれます。夏休みを思い出す話も多いので、この時期に読むと一番良いのではないでしょうか。
木犀あこ『美食亭グストーの特別料理』(角川ホラー文庫)
”歌舞伎町の片隅にある「美食亭グストー」には訪れた一条刀馬は、悪魔じみた「食」への執念を持つ料理長・荒神羊一のもとで働くことに。グストーには特別な客のみが通される地下室「怪食亭グストー」があった。そこに訪れる様々な歪みを抱えた客たち…”
以前紹介した「奇奇奇譚編集部」シリーズの木犀あこ先生の新シリーズ(シリーズ化してください角川さん)です。今回はテーマを幽霊や執筆業から食に。前シリーズのころから人の業やそれを直視することの恐ろしさを扱っていた木犀先生ですが、食というより生物的なテーマになり、ディテールに情報を割く必要が減り洗練された印象を受けます。
前作までの紹介は過去記事を読んでいただければと思いますが、今作も傍若無人な上司と、(比較的)良識人な語り手というバディ物の構成です。相変わらずコミカルなやり取りでサラッとエグい展開を入れてきますね。
TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」&「アフター6ジャンクション」編
『拝啓元トモ様』(筑摩書房)
TBSラジオの人気番組での投稿コーナーを書籍化したものですね。進学、就職、喧嘩、趣味の不一致、性の目覚め…色々な形で疎遠になってしまった、かつて確かに仲が良かった友人「元トモ」。隅にしまい込み、誇りをかぶった苦くて切ない記憶をそっと取り出してみようという趣旨の本作ですが、なんで他人の経験にここまで心が苦しくなるのでしょう…。
本を媒介して他者の思考に触れる・共感するという読書の原初の目的に最短距離で到達させてくれる短編集です。
書き下ろしでライムスター宇多丸、元TBSアナウンサー宇垣美里、エッセイストのしまおまほ、声優の池澤春菜(いずれも敬称略)など華やかな面々の書き下ろしもあり、ラジオを聞いた人にもコストバリューがいいのが嬉しいですね。
- 作者: TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」&「アフター6ジャンクション」
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2019/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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とりあえず、最近読んだなというのでパッと思いつくのはこの三冊でしょうか。
【私事】
仕事辞めました。本当ならこういうのこそ上手に書けばバズるんでしょうけど、面白いエピソードもないので…。
今朝は職場のトイレで戻したあとに足に力が入らなくなって、しばらくトイレの床に倒れてたわけだけど、あったけぇ管理職から「早く自分の持ち場に行きなさいよ!!」と激励を受けたわけだよ。
— 真のづ (@shin_notturia) June 5, 2019