皆さんこんにちは、のづです。
先日、『薬屋のひとりごと』が予想以上に見やすくて面白いという話はしました。
今日は、そんな『薬屋のひとりごと』と近接したジャンルで、今後さらに面白くなりそうな作品と出会ったので、その紹介記事です。
それがこちら
舟木絵理歌『双影双書』
遊郭にて乞食をして暮らす少年・宵(しょう)はある日突然、皇宮に身請けされることに。 その理由は、皇子の盾となる「影武者」に抜擢されたため。 陰謀が渦巻く皇宮にて、宵は皇子を護れるのか――!? 顔が瓜二つの少年2人が出会い、歴史は大きく動き始める!!
サンデーうぇぶり「双影双書」紹介ページより
現在、小学館のweb漫画媒体「サンデーうぇぶり」にて連載中のこの作品です。せっかくweb上で読める作品ですので、これからだらだらと語るよりも、まずは読んでいただければと思います。記事を書いた2024年2月現在、5話までと最新話は無料で読めます。
さてこの作品、上に載せたあらすじを読んだだけでも、それこそ今人気が高まっている『薬屋のひとりごと』と共通する点がいくつか見受けられます。
といったところでしょうか。
現代に生きる我々にとって、皇帝という絶対的な権力者を支える空間を舞台とする物語では、どうしても価値観が根本的に異なる登場人物たちが多くなってしまいます。これを無理に現代の価値観に寄せようとして、実在の人物がおよそその時代にそぐわぬ言動を取る脚本の時代劇や歴史ドラマなどもあります*2が、やはり評価は芳しくありません。
そこで、他の登場人物たちとは異なる、できれば現代人寄りの価値観や知識を持つ主人公が求められるわけですが、その装置として妓楼(「双影双書」では廓(くるわ)と呼んでいます。より日本的)育ちという共通点に至るのは面白いですね。暗く被害者を生む空間であるのは間違いありませんが、『薬屋のひとりごと』においては女性たちが自立して生きる空間という面も強調されており*3、こういった社会における女性の描き方としても、昨今の価値観とマッチしますね。『双影双書』ではしばらく主人公・宵の育った廓が登場することはなさそうですが、いずれ世界観を分厚くするためにも描いてほしいですね。
中国発のBLを、ブロマンスという枠に収まるまで希釈したことで、多くの人が抵抗感なく楽しめるようになった「魔道祖師」や「天官賜福」、気が付けば一ジャンルとしてその地位を絶対的なものとした「原神」など、これからはJRPGをベースとした洋風な世界観*4とは別に、中華風世界観の作品が多数登場するやもしれません。特に唐や宋あたりをモデルにすれば華やかで洋の東西が交流する国際色豊かな都市として描けるので、いかようにもでもなりそうです。一度定着すれば様々な描き方が可能な懐の深いジャンルとなりそうです。
そうなった際に、ブームの火付け役となった作品の一つとして、『双影双書』の名前が上がるようになってほしいと心から願っています。
翠燕ちゃんかわいい