のづ記

Twitterは@shin_notturiaです。本とかゲームとか怖い話とか。

【ゲームの話】今週末は仁王2をやりませんか?

皆さんこんにちは、のづです。
最近はというと連日新型コロナウイルスの話題ばかりですね。各種イベントや行動自粛の要請など、とにかく2011年の東日本大震災以来の「国難」といった雰囲気が広がっています。私も仕事柄、今回の騒動の影響を大きく受けた身でありましたが、年度末の有給消費期間と重なりまとまった休みができました。
冒頭から柄にもなくこんなことに触れたのは、この些末な記事も何かしらの記録として何年か後に価値が出てきたらいいなぁという主権者しぐさと、それ以上にここ数日、本当に家から一歩も出ない日すらあったのを正当化するためです。

さて、そんなに引きこもって何をしていたかというと、軽い筋トレと、あとはひたすら先日発売された『仁王2』で遊んでいました。
今日はそんなコーエーが誇る傑作『仁王2』の魅力を語ろうと思います。

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風船みたいな猫?を撫で回し、やたら金玉袋のでかいムジナと真似っ子遊びをし、鴉や蛇や猿と刃物を使って戯れる。実質コーエーどうぶつの森



【そもそも発売されただけで驚かれたタイトル】
FF13,人喰いの大鷲トリコ,仁王…
ゲーム文化に親しんできた方ならこのタイトルを聞いてピンとくるかも知れません。「先輩」「留年」「永遠に完成しない」「ガウディ」などと言われ続けてきたタイトル達です。ゲーム界のMRJみたいな面々だったわけですね。実際、『仁王』は初報が出てから発売まで12年かかった作品で、凍結したIPだと言われれば誰もが疑うことなく受け入れてしまう状況でした。

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あまりの長さから発売は「卒業」と公的にネタにされるまでに。
そんな生まれる前からドタバタした状況だったのが前作『仁王』でした。しかし蓋を開けてみれば驚きの出来栄え。フロム・ソフトウェアの『ソウル』シリーズに強い影響を受けた死にゲーであり(これはコーエーも公言しています。)つつ、コーエーらしく戦国時代の日本を舞台に設定し、敵味方ともに個性豊かなアクション、作り込まれたステージ、丁寧なモデリング、やたら演技が上手い徳川家康役の市村正親フレーバーテキスト含め歴ゲー老舗メーカーの名に恥じぬ細かなネタの数々……無双シリーズ一辺倒と言われて久しいコーエーのアクションゲームを牽引しうる新たな代表作となったのでした。織田信長役に会長シブサワコウが起用された(ご丁寧に「信長の野望」という台詞が入るほど!)点からも、記念碑的な作品であったのも明らかです。


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シブサワコウ氏は声優として確かに素人なんだけど、棒演技と一蹴するには勿体無い魅力があって好きだったんだけどなぁ


単体作としても間違いなくコーエーテクモゲームスの傑作であった『仁王』でしたが、明らかに世界観が描ききれていないことが匂わされておりました。そこを埋めるかのように前日譚が描かれたのが『仁王2』です。


【2作目の不安要素と吹き飛ばす出来】
後に秀吉として立身出世を邁進する「藤吉郎」役に竹中直人さん、妖怪を討伐するソハヤ衆の女戦士「無明」役に波瑠さんを起用するなど、前作に続き俳優の起用も目を引きます。
大河ドラマでも二度豊臣秀吉を演じた竹中直人さんが「藤吉郎」役というのは声優としての演技力とか関係なく、これを出されては否定しようのない説得力を持つ配役ですし、昨年夏映画で阿鼻叫喚の地獄を作り出した『ドラゴンクエスト ユアストーリー』にも出演し、作品の評価とは反比例するように絶賛されるほど見事に演じ分けをした波瑠さんも声優としての力に不安点はありません。特に波瑠さんはアクションボイスが一切取り繕う感じがなくて良かったです。強いて言うならモデリングが精巧であるために、無明に関しては若干コラ感を覚えてしまうくらいでしょうか。実はこの波瑠さんの起用が最終盤にて若干奇妙な事象を引き起こすのですが、これはDLCにて語られるかもしれないので、大きくツッコむのはやめましょう。

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この他にも実力派声優陣で固められた座組で、無双シリーズなどと見比べるだけでも楽しい。


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竹中直人が演じる藤吉郎。「へへっ……やっぱ強いよなぁ…秀の字……」という台詞があるのだが、ここの演技が本当に大好き。

主人公の秀千代は人と妖怪の血を引く出自不明(割とバレバレだが)の半妖で、藤吉郎と出会うことで二人で一つの「秀吉」の名を得ることとなります。竹中直人さん演じる藤吉郎が歴史の表舞台に立つ「秀吉」であり、彼を影より支える存在が主人公、という構図です。半妖という出自を活かしているわけですが、物語前半は藤吉郎にいいように使われている気がしなくもありません(この辺が後半の展開に活きてくるのですが)。
今回はキャラメイクが可能となり、これにより没個性的な主人公にならないかと懸念もされていました。実際、主人公に台詞はないものの、ストーリー面ではしっかりと存在感を持ち、前作の主人公ウィリアムと比べても遜色ない魅力的なキャラクターに仕上がっています。
またこのキャラメイクの出来が良く、体験版の時点から様々な有名人の再現も可能であると話題になり、それらのまとめ記事で知ったという人もいるのではないでしょうか。
gametokka.com


無精髭を生やした初期設定のままの主人公も良い(私は物語に没入するため、ストーリー一周目はこれでクリアしました)のですが、事細かに自分の好みに合わせてエディットできるのも大きな魅力です。


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現在の我が家の秀千代。こういう切れ長な顔がとにかく好き。
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めっちゃかわいい。
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はぁ、好き……

【苛立ちと納得の境界線】
上でも述べた通り、『仁王』シリーズは死にゲーであり、初見殺し、高火力の技を持っていたり動作の速い敵が多数おり、ステージ内にいくつか存在する「社」という拠点で体力回復やアイテム補充などをするたびに敵は復活し、「一度通ったから安全路」ということはありません。このシステムは完全に『ソウル』シリーズを手本としていますね。
当然高難易度のこのゲーム、クリア時の達成感もひとしおが、あまりに理不尽で苛立ちが勝って投げ出されてしまっては元も子もありません。先程から名前を出している『ソウル』シリーズと比べると『仁王』2作は敵配置に関して乱暴なところがあり、ここにおいては性格の悪いゲームを作り続けてきたフロム・ソフトウェアに一日の長があります。正直なところ、『ソウル』シリーズのほうが工夫と発想次第で攻略方法に広がりがあるんですね。
結局のところ、悪質なトラップや理不尽な強さの敵が居ようとも解決の糸口が見えるなり、ギミックを試す余地があるなどで納得がないといけないわけです。逆に言えば、納得さえできればどんなに高難易度でもやる気が出るわけです。

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ジョジョ7部屈指の名言でもそう言っている。

では『仁王』シリーズはどのようにしてバランス取りをしているかというと、思うに以下の3点に絞られます。
1,自身を強化する補助具的アイテム
2,遠距離戦法などの「救済措置」
3,敵の生物的なモーション

1は世界観に合わせ陰陽術などによるバフ(味方の強化)やデバフ(敵の弱体化)スキル、2,は忍術を中心にレベルアップさせれば遠距離戦法が可能であること。この2つはゲームの攻略法であり、3番目は方向性が異なりますね。しかしこの3点目こそ『仁王』のゲームバランスを支える重要なポイントと考えます。
『仁王2』第一ステージに出てくる中ボス格の敵、「牛頭鬼」を例に見てみましょう。
牛頭鬼は右手に大鉈を持つ巨体の敵です。

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プレイヤーはこの自身の3倍はあろうかという敵と、レベル1の状態でこれと対峙することになるわけですが、負けイベントでもなく「これはそういうゲーム」ということを教えてくれるチュートリアル的な位置づけになります。さてこの牛頭鬼、大鉈による攻撃の他に牛らしく突進して突き上げるという攻撃をしてきます。せいぜい消費アイテム「石」か運が良くて「火薬玉」しか遠距離武器を持たずに戦うために近接戦を強いられている中、ダッシュ攻撃を繰り出してくるわけです。しかしここが本作の秀逸なところで、この攻撃の前に牛頭鬼がその場で地面を2回蹴る動きが入るのです。なんてことないようですがこれが攻略には非常に大切で「牛の要素を持つ敵」と「地面を蹴るモーション」が合わさることで、自然と突進攻撃が来ると予測が立てられるわけです。
敵の攻撃前動作から動きを決めて対処する、というのはゲームでは当然のことではあるのですが、『仁王2』はここが現実の動物に即していたり、納得ができるものが多いわけです。コレは攻略のヒントであると同時に、初見の敵相手にも直感的に立ち回りを決められるサインにもなります。立ち合いの駆け引きの緊張感が楽しめるわけです。
決して日の目を浴びる機会が多くない方々ですが、『仁王』においてモーション担当班の働きは本当に大きいんです。武技(レベル上げの中で使えるようになる武器ごとの固有技)の派手さや、敵が使ってきたときの派手なカメラワークも良いですね。キメられるとたいてい死ぬけど。



歴史ネタがこう活かされているだとか、前作との繋がりがこう描かれている(これ自体が非常に史劇的ですね)といったものは、各所で語られていることかと思われます。本作も前作と同様に素晴らしいシナリオでした(前作はDLC3部作含めて完結し、その第3弾が白眉なので、コンプリートエディションを是非)。

仁王 Complete Edition - PS4

仁王 Complete Edition - PS4

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: Video Game




今日の記事は、それ以外のところでも『仁王2』は非常に完成度が高いということを伝えたく書きなぐりました。その難易度から人を選ぶ作品なのは間違いありませんが、少しでも気になっている人は、外出もしづらい週末に手を出してみてはいかがでしょうか?

仁王2

仁王2

  • 発売日: 2020/03/12
  • メディア: Video Game