のづ記

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【禍話、余談】ある小学校に関すること

皆さんこんにちは、のづです。

今回の記事は、弊ブログでも何度か行っております「禍話リライト」という、怖い話をするツイキャス「禍話」で語られた話を文章化したものです。

先日の放送

twitcasting.tv

の終盤にて、メインパーソナリティのかぁなっきさんの友人、余寒さんが過去の放送の中でも印象深かったという話で「体育館の収納庫に女の子がいる話」を挙げてくださっていました。かぁなっきさんは覚えていらっしゃらない様子でしたが、恐らくですが、それは私自身の体験談であろうと思います。考えてみれば4年ほど昔の話ですから覚えていないのも当然です。私自身もおぼろげな部分もあるくらいです。ただこれを機に、かぁなっきさんに送ったDMなどをたどって、約半年にわたり起こった不可解な出来事を「ある小学校に関すること」と題して整理・記録してみようというのが、今回の試みです。

  なお、いくつかは禍話の放送の中でもお話しいただいたのですが、長期にわたって起こったこと故、何回かに分散していたり、今回整理しなおして初めて話すこともあるので、リンクは貼っていません。

 

 

 

 2017年4月、私はS県の小学校に半年間の任期付きの職員として赴任した。小学校は団地に隣接する位置にあったが、高齢化のあおりを受けて全学年1学級、総児童数は130人ほどの小規模校であった。

 最初にそれが起こったのは5月であった。その日の翌日は何か行事予定があり、職員と高学年の児童が一緒になって体育館のステージ下に収納されたパイプ椅子を並べる作業をしていた。行事に参加する人数も少ないが、動員されている人数も少ないので、思いのほか時間がかかる。私がほかの業務を終えて体育館に向かうと、5年生の男子児童数人が駆け寄ってきて口々に言った。

「ステージ下に真っ黒な人がいる」

「A君(5年生の男子)が見た。俺も見た気がする」

 報告に来た数人が、そろってステージ下の奥に人影を見たのだという。その時居合わせた教員が、万が一冒険気分で入ってしまった児童がいては大変なので、ライトで照らしながら声掛けを行ったが、それらしいものは何もなかった。とは言え、彼らがステージ下を覗き込んだのは、率先して手伝いをしようとしたわけではなく、普段見ることができないステージ下の空間が気になったが故、つまりは遊ぼうとしたからだった。年齢も勘案すると、あまり信用のなる情報と思えなかった。私は彼らの報告を軽くいなすと、作業に従事した。

 

 男子児童からの報告があった、翌日から、少し違和感を覚えることが起こるようになった。その学校では出勤した職員が各所の解錠などを行っていた。私は体育館を開けることが多く、その日もいつもの流れで体育館の通報システムを止めた。開けた瞬間なにか違和感があった。しばらくしてそれが、体育館のステージ下の引き戸の一部が開いているからだと分かった。原因がわかりはしたが、放課後に体育館を借りているママさんバレーチームなど(こういった団体・活動を社会体育と呼んでいた)が、椅子を出して戻すときに閉じ方が雑だったのだろうと判断したので、このこともそんなに重く受け止めなかった。

 引き戸の「閉め忘れ」はそれからしばらく続いた。私の中で、5月に児童が見た人影と、この戸が開いている現象を結びつけるようになったのは、7月ごろになってからだった。その頃には管理職を通して体育館を利用する社会体育の団体に「戸締りはもちろん、ドアなども開け放ったままにしないよう」注意喚起がなされていたが、戸の「閉め忘れ」は一向に直ることはなかった。だが、決定打はこれではなかった。

 6月初旬、6年生が「何か怖い話を知らないか」と尋ねてきた。6年生は夏休みの機関に林間学校を兼ねた修学旅行に行く。その中のイベントで教職員が用意した肝試しを行うそうなのだが、その前説ないし雰囲気づくりとして「怖い話係」の児童が、2,3怖い話を披露するのだという。尋ねてきたのはそのネタ探しであった。この頃には禍話の放送は始まっていたが、小学生相手に人死にや勝手に廃墟に侵入する話などをするのもよろしくない。しばし思案したのち、私は

「学校の七不思議なんていう言葉もあるくらいだから、存外身近なところに怖い話はあるかもしれないね」

などと知らない体で乗り切ろうとした。すると、その中に混じっていた女子児童のB子がすかさず

「体育館ですか?」

と聞き返してきた。そのB子は普段そういった雑談に乗ってくるような子ではなかったし、ましてや場をにぎやかすような「それっぽい事」を口にするタイプではない。つまりは、何かしらの確証があっていきなり、この学校の体育館には何かがあると言ってきたのだ。できるだけ平静を装って私がどうしてそう思うのかというと、彼女は以下のようなことを言った。

 私自身にはいわゆる霊感はないが、父がよく見えると公言している。以前、母が社会体育のバドミントンチームに所属していた時期に、よく父が迎えに体育館まで来た。そのさいにしばしば

「あの体育館には男の子と女の子がいる」

と事もなげに言うのだそうだ。だからあの体育館には何かがいる。ちなみにその父というのは、マイカーでの家族旅行の最中に、突然ハンドルを切って急な車線変更をしたかと思うと

「いやぁ、いま人が立ってたから。別にそのまま通っても良かったんだけど気持ちのいいものでもないから」

などと言い出すこともあった。

 B子のお父様とは授業参観の際に一度だけお会いしたことがあるが、曲がりなりにも家族の命を危険に晒すような運転を、自分の霊感アピールのためにする人とも思えない優しい方であった。私は、彼はおそらく本当に「見えてしまう人」なのだろうと思っている。

 

 

以下は、その後に起こったことを振り返れる限りで列挙する。特に大きなことが起こったものを挙げるものであり、引き戸が開いているという現象はほぼ毎日続いた。

 

6月15日(木)夕方

体育館の戸締りをして警備システムを付けて立ち去ろうとしたとき、体育館中に爆発音にも近い何かがぶつかる音が響く。数分前に閉めたはずのステージ下の引き戸が開いていた。後に調べてみるも、何かがぶつかったという事実はない。

 

7月3日(月)夕方

体育館の施錠をしに向かうと、ステージ下の引き戸がほぼすべて開いている。その日を前後してパイプ椅子を出すようなイベントはないことは確認済み。写真は思わずその時に撮ったもの。

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7月6日(木)早朝

体育館の解錠に向かうと引き戸に異常はなかったが、体育館の備品にはない規格のロープが千切れたものが落ちている。2階廊下の手すりの真下に落ちていた。写真はその時拾い上げた実物。長さも相まって、何かを吊るすことを想起した。

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8月21日(月)早朝

解錠しに行くと、体育館が線香のような香りが充満している。あまりにはっきりしているので錯覚を疑ったが、そのあと体育館に来た教員が口々に何の匂いかと呟いていた。

 

9月19日(火)早朝

18日の敬老の日の翌日、この日は久しぶりに関東に直撃した台風18号が通過した台風一過の快晴であった。前日に予定されていた地元クラブチームのサッカー教室は中止であったが(全体がぬかるんでそれどころではなかった)、体育館の解錠に向かうと、入り口の周りに無数の足跡が付いていた。大きさからして小学校低学年くらいだろうか。

 

9月28日(木)早朝

体育館のガラス窓の一部が割れる。原因は不明。近くに石などの割ったであろう道具や、割れたガラスの破片は見つかっらなかった。

 

以上のようなことが5か月ほど続いたある日、ある事に気づいた。それはステージ場にあるピアノのそばに置かれた注意書きの札。

『危ないので、ステージの上で遊んではいけません』

なんてことはない、おそらく全国の多くの小学校で若干の文言を変えながら言われていることだろうが、その日私はその札を見て唐突に気付いた。

 ステージの上で遊んではいけないから、ステージの下にいるのだ。

そう思った途端、それまでおぼろげだった二人の子供の姿というのが、とても鮮明に実在感を持つように感じるようになった。

 

 

幸いにして私の任期はこのことに気づいた直後に終わり、他校へと異動した。その後、1年ほどはその学校に勤務する教員と連絡を取ったりもしたが、体育館に関しては聞いていない。