のづ記

Twitterは@shin_notturiaです。本とかゲームとか怖い話とか。

2020年1月に触れたもの

皆さんこんにちは、のづです。
月一の忘備録のようになっている先月触れたものを列挙する記事です。

【本の話】

桃崎有一郎『武士の起源を解きあかす 混合する古代、創発される中世』(ちくま新書)
友人の勧めで購入しました。大きく出たなぁと思わせるタイトル。確かに教科書でもぼやかした表現で「滝口の武士」として急に出てくる「武士」なる人々…彼らがどこから来た人々なのかを丁寧な史料読解に基づいて大胆な仮説を提唱する一冊。大胆に踏み込んだ説を出すあたりから若々しい力強さを感じていたが、若干42歳で博士号とのこと(それでも歳上の方ですが)。今後の研究にも期待したい方です。


戦国時代と大航海時代-秀吉・家康・政宗の外交戦略』(岩波新書)
すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は伊達政宗が好きてです。ここ数年のいわゆる「歴女ブーム」的な潮流のせいで最もミーハーな層が好む人物になってしまっている気もするが、それでも好きなのです。
帯は秀吉の朝鮮侵略が世界規模で植民活動を展開していたスペイン帝国に対する敵愾心であったというスケールが大きいセンセーショナルなものですが、なるほどこういう「日本史」と「世界史」を結び付けられる人は大変に貴重だと感じました。というかこの問題は本当に根深い…


林千草伊達政宗、最期の日々』(講談社現代新書)
政宗晩年の小姓、木村右衛門という人が書き残した『木村右衛門覚書』から見えてくる、死を前にした伊達政宗の生々しいまでの記録。一人の英雄を敬愛する優しい眼差しで書かれた一冊。

伊達政宗、最期の日々 (講談社現代新書)

伊達政宗、最期の日々 (講談社現代新書)


渡辺信一郎『シリーズ中国の歴史① 中華の成立』(岩波新書)
岩波が昨年秋から始めた王朝ごとの「断代史」に囚われずに「中国史」を捉え直そうという試みのもとに始められたシリーズの第一巻。
中原が成立し、絢爛たる大唐帝国の終焉までを制度に目を向けて日本の教育で説かれてきた誤解を解きほぐそういう一冊です。基礎知識が必要となりますし、制度史はこの本含め、往々にして文章として盛り上がりようのない領域ですが、それを差し引いても高い志のもとに始まった本企画。完走したい。

中華の成立: 唐代まで (岩波新書)

中華の成立: 唐代まで (岩波新書)


丸橋充拓『シリーズ中国の歴史② 江南の開発』(岩波新書)
上のと同じ岩波新書の中国の歴史シリーズ第2巻。今回は永く黄河流域と対を成すように語られてきた長江流域から見た話です。1/31現在ではまだ読み途中。序説に南北の南を担うかのような中華世界の半分と捉える矮小化した中華像から脱却したいともあり、ここからスケールが拡大していくと思うとワクワクします。


遠藤雅司『歴メシ!世界の歴史料理をおいしく食べる』(柏書房)
フォロワーから頂いたクリスマスプレゼントの一つ。古代から近代に至るまで、今日の日本とは異なるレシピを食事情と合わせて紹介してくれている一冊。レシピ本とはいえ、気軽にサメ肉を用意しろなどと無茶振りをしてくるのでいまだに一品も作れていません……

歴メシ!  世界の歴史料理をおいしく食べる

歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる


【映画の話】

ジョジョラビット』
MCUの『ソーラグナロク(邦題マイティーソー・バトルロイヤル)』のタイカ・ワイティティ監督最新作。監督本人もイマジナリーフレンドのヒトラー役として熱演しているのだが、声の出し方がめっちゃ似ています。観る前にyoutubeとかで演説動画とかを見てからだと更に楽しめるかも。戦争の悲惨さは、生活の延長戦にあって隔絶されたものではないのだと感じさせながら説教臭くなく、笑えて、泣ける気持ちのいい一本。
大人って結構格好いいじゃんと思わせてもくれるので、若い子にもぜひ見てほしい快作です。
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1月はこんな感じ。意識してはいないのですが、歴史関連で統一された一月でした。
2月には全編ワンショット撮影という気の狂いそうな手法で撮られた第一次大戦を描く『1917』や、『ヘレディタリー/継承』で多くの人間に地獄を見せたアリ・アスター監督の新作『ミッドサマー』が公開予定ですので、映像作品に偏る予感です。また、三春町の地元PRアニメ『愛姫-MEGOHIME』の第二話Youtubeで公開予定とのことですので、第一話より分かり易くなっていることに期待して気長に待ちます。
それでは。