のづ記

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【ゲームの話】神室町で役者・木村拓哉にぶん殴られた。

皆さんこんにちは、のづです。

気が付けば年の瀬ですね。今回の記事は特に年末やらクリスマスやらとは関係ないのですが、少し前にフォロワーの方からあるゲームをいただいたので、その話をしようと思います。

来週の注目作は『JUDGE EYES:死神の遺言』 木村拓哉演じる探偵が神室町を駆け回る

 

 

SEGA「ジャッジアイズ」。システム、世界観を「龍が如く」シリーズ(以下、「龍」)と共有し、「龍」では描きえない神室町*1での事件、人間模様を描いた一作です。

 

「龍」シリーズは毎回、芸能人が声を当て、モデリングも本人を再現したキャラクターが登場することでも知られますが、今作では主人公の「八神隆之」を元SMAP木村拓哉氏が務めるという何よりもインパクトある情報で、発表時から話題となっていました。しかしながらそのインパクトの大きさゆえに「キムタクが如く」や「豪華すぎるバカゲー」といったような、本作のポテンシャルを十二分に表現できていないようなレッテル貼りにも近い呼び名が生まれてしまいました。あとはキーパーソンを演じ、顔も自身のモデリングを使ったピエール瀧氏が逮捕によりモデル差し替えが行われるという悲しい要素も…

 

事実、広く知られた「木村拓哉ミーム」とも呼ぶべき要素がちりばめられていたり*2、「木村拓哉が行っているからこそ、ギャップで面白くなるギャグ」という側面もあります。しかしながら、本作の魅力はそういった、いわば小手先の面白さだけではなく、確たる実力ある作品なのです。

この記事は、贈っていただいた感謝の気持ちを込め、本作の魅力を紹介し、イメージ払拭の一助となればと思っています。

 

【さすが長寿シリーズ!安心のアクションパート!】

主人公の八神は、奇跡的な無罪を勝ち取った俊英弁護士。しかし、無罪にした依頼人が、今度は数か月後に恋人を惨殺して放火…一転して八神は殺人鬼を野に放った男と目され弁護士事務所を去ります。作中本編では、街の探偵として、ヤクザを狙った連続殺人にかかわっていきます。

八神は街中で敵対する人間と肉弾戦に発展するのですが、やはりこの辺りはアクションゲームを作り続けてきた龍が如くスタジオなだけあって非常に高い完成度でまとまっています。モータルアクションという大技を受けると、いちいちマップに外れにある場所でのみ受けられる高額治療か、これまた高額な治療キットでしか治せないライフゲージの上限が削られる仕様{中盤以降はモブすら持ち始める拳銃によってもこの効果が出る。}や、探索パート、尾行パートの若干のうっとうしさはあるものの、『龍』本編にはない、探偵ならではのゲーム性が確立されています。単なる使いまわしで済ませようといった妥協は感じられません。ただし虎牙派、テメーらはだけは絶対に許さん。(モータルアクションに関しては、続編の「ロストジャッジメント」で大幅に改善されたので、やはり不評だったのだろう)

 

【そもそも木村拓哉の魅力とは何か】

アクションやストーリー、やりこみ要素など、各要素に魅力はあれど、本作最大の話題性であり、雰囲気を決定づけるのは、やはり主演が木村拓哉氏であるということでしょう。

キムタクの名で親しまれ、20年以上日本のアイドルの代名詞的な存在として活躍し続ける氏ですが、彼の魅力はどのような点にあるのでしょうか。また、それが八神隆之を演じるにあたり、どのような効果をもたらしているのかを考えようと思います。

弊ブログでも何度か紹介しているヒップホップグループRHYMESTER宇多丸氏は、自身のラジオ番組「ウィークエンドシャッフル」*3にて企画された「最高のアイドルは誰か」というトークにて木村拓哉氏を挙げ、その根拠として

「圧倒的なルックスを持ちながら、話し方や立ち振る舞いは、一般的なアイドル然としない『普通の若者』であること」

を挙げていました。ここに、アイドル木村拓哉の魅力、そして役者としての特徴があるやもしれません。また宇多丸氏は、映画「検察側の罪人」(主演が木村拓哉氏)にて

「木村さんは実は声に非常に特徴がある役者」と述べています。

 

今回記事を書くにあたり自身のツイートを遡っていたところ以前私自身も氏の声の声の特徴を指摘していました。

 

『ジャッジアイズ』はアクションゲームであり、普段のドラマなどでは出さないような怒声や、アクションボイスが大きな割合を占めます。そこにおいてこの木村氏の特徴的な声が効果的に発揮されています。「革ジャンとスキニージーンズの探偵を成立させるルックス」「どういうわけか上手に人の懐に入ってしまう親しみやすさ」「セリフの終盤にかけて声を張る、感情が乗りつつ個性も感じられる怒り方」など、八神隆之というキャラクターは木村拓哉氏以外では成立しえない存在となっています。八神の人に好かれやすい一面というのは、ヤクザが主役の「龍」ではできない「出自も普段の生活もまるで違う街の皆で悪と戦う」という非常に重要な要素を支えており、この点も含め、やはり八神隆之は木村拓哉氏以外でなしえない存在なのです。

木村拓哉氏でしかなしえず、それでいてプレイ中は木村拓哉氏ではない八神隆之という独立した存在と感じさせるのは、木村拓哉氏の役者としての実力というほかありません。

そんな魅力的なキャラクターになり、作りこまれた新宿の繁華街を駆け回る。面白くないわけがありません。役者といえば、終盤、あるシーンで八神ともう一人のキーパーソンが密室で対話するくだりがあるのですが、そこでの「豹変」する演技が実にいいので、是非ともプレイして確認してください。

 

「リーガルサスペンス」と銘打たれている通り、サスペンスドラマとして、非常に壮大なスケールに発展していく「龍」らしいドライブ感あふれるストーリーも大きな魅力です。この辺りは何を話してもいわゆるネタバレにつながりかねない(それくらい小さな要素まで後に繋がっていく)ので伏せます。

 

年末年始というまとまった休みが生まれやすいこのタイミング、色物と食わず嫌いせず、自分へのクリスマスプレゼントとしても良し、続編「ロストジャッジメント」と合わせて手を出してみませんか?

*1:『龍』ではおなじみの、歌舞伎町をモデルにした、というか完全再現を目指し続ける新宿の繁華街。

*2:そもそも「法曹三者木村拓哉」となるとどうしても「HERO」が連想される

*3:現在は実質的な続編として週5の帯番組「アフター6ジャンクション」となっている