のづ記

Twitterは@shin_notturiaです。本とかゲームとか怖い話とか。

【禍話で語られなかった話】夢の中の現場。その後…

今回の禍話リライト(正確には禍話本編で語られていないので、このような題にしています)は「夢の中の現場」という話の続き物です。

簡単に説明しておきますと、アレは私自身の体験談でして、最近になってこの事件に関する色々なことがわかったので書き記しておこうという次第です。

 前日譚として「夢の中の現場」をお読みいただければと思います。



 

notturia.hatenablog.com

 

 

 かの職場に勤めてたから数カ月、これといって死や不吉なことを連想させるような雰囲気はやはりなかった。職場の人もみな明るく、自然と働くうちに親しくなってきた。どこにでもある職場。ただし、男はやはりあの夢を忘れられなかったし、職場が明るければ明るいほど、何かをひた隠しにしているのではという気持ちにならざるを得なかった。多忙な職場でもあったので、なかなか歓迎会なども開けずにいたが、よく話しかけてくれるフランクで口が軽い同世代の同僚が酒の席に誘ってくれた。そこで男は

「もしかしたらネットの悪質なデマかもしれないし、本当のことなら嫌な思い出かもしれないが…」と断りを入れ、思い切って事故の子細を聞いてみることにした。同僚も慣れた様子で話してくれたので、この手の質問は何度も受けていたのかもしれない。

 それによると、事故は完全な被害者、というのではなく、むしろ道路に飛び出したものであった。つまりは、自殺である。しかし、その女性は職場内でいじめ等を受けていなかったようだ。実際に警察が調べてもモラハラパワハラとの関連性は確認されず、このご時世には珍しくひっそりと報じられて終わった(もっとも、そのせいで男は知らずに勤め始めて怖い思いをしたのだが)。 では何故死んだのかというと、何かカルト的なモノに憧れを抱いており、死後の世界、あるいは死という事象そのものに強く惹きつけられていたんそうだ。彼女の自室から発見されたノートには、

『恨みや厭世的なものではなく、同僚に責任を負わせるものではない。両親より先立つこと、事故現場となってしまう職場、そこに勤める方々には大変申し訳なく思うが、死への憧れを止められない』

といった旨が書かれたものが見つかったのだそうだ。

 ここまでは「そういう動機だったのか」という話なのだが、やはりどうしようもない困窮や精神苦、もしくは大病を得たわけでもない生者が死に憧れるなどというのは健全な状態とは言い難い。死後の世界があるかは分からぬが、死を拒絶されるということがあるのかもしれない。何の事かと言うと、彼女は現世を離れようとして飛び込んだわけだが、彼女の飛び込んだ先の路面は他の場所と違う色、それも新しいものに取り替えたからではなくむしろ逆で時間が経って色が抜けてしまったかのようにクッキリ出てしまっているのだ。死を望んだ彼女の痕跡は今もくっきりと現世に残っている。

 

 

 それと、これはこの一件と関係するものなのかは分からぬが、先日終業間際で明かりを落としたオフィスの面談室に、微動だにしない女が座っているのを同僚と二人で見てしまったのだが、それが何者だったのかはいまだに分からぬままである。






【祝】10万アクセス突破しました。

皆さんこんにちは、のづです。
おかげさまで当ブログのアクセス数が10万を突破しました!!
[f:id:no
検索汚染としか言いようのない当ブログがこうして10万の大台に乗れましたのも、一重に愛想を尽かしながらもアクセスしてくださる皆様のおかげです。

f:id:notturia:20200818182152j:plain
デカい祝と書かれた画像

検索汚染と言えば「戦国無双5」で検索すると、諸検索エンジンてこのブログの記事がトップに来るという話はすでにしました。*1
f:id:notturia:20200818182213j:plain


ときに…
f:id:notturia:20200818182231j:plain

「ふわふわのくま」で検索してもトップに来ることを皆様は御存知でしたでしょうか?私は先日フォロワーのツイキャスを聞きに行って知りました。


本当に多方面にご迷惑をおかけしております。


さて、直近の予定としましては、
①禍話の放送に載せられなかった禍話リライト(のづ自身の体験談のその後の話)
戦国無双5の嘘PV第3弾
戦国無双5の嘘インタビュー書き起こし

などを予定しております。

f:id:notturia:20200818184006j:plain



③はマジで怒られるかもしれないのでやらないかも…

何にせよ
今後ともコーエーテクモゲームスへの愛情が歪んだ形で表出されたブログ「のづ記」を今後ともよろしくお願い申し上げます!!

*1:本当に早く公式に動いて下方に引きずり下ろしてほしい

【禍話リライトシリーズ】首体育館

 これは、男女二人で居酒屋で飲んだ帰った時の話である。

 二人が住む家のすぐ近くには、県内では様々な競技で選抜に選ばれるような私立の強豪校を持つ法人が運営している体育館がある。今のようなご時世でもなければ、毎晩遅くまで練習とかしてるらしいのだが、最近は明かりがついていてもほとんど声も音も聞こえない寂しい有様である。

 体育館は大通りに面しているのだが、体育館の裏側、つまりは住宅街に入っていく小道を通って家に帰ることにした。灯りも少なくて女性だけでは危険な気もする暗めな道だが、こちらの方が信号がなく、早く帰れるので特に男の方が重宝していた。

 二人でその体育館見ながら中高時代の互いの部活の話やらをしながら歩いていたら、彼女のほうが突然顔が引きつって声のトーン落として
「あんまりキョロキョロしないで、そのままこの道さっと抜けよう」

と言いだした。はじめは不審者が近くにいるのかと疑った。結構飲んでいたが、家まではあと1分っていうところだ。二人で全力疾走すべきかとも考えた。しかし彼女のほうは逃げるというより、何かを刺激しないようにやり過ごそうといった風であくまで早歩き程度でその道を抜けようと考えたいたらしい。走ろうとした彼氏の腕を制するように掴んだ手のひらに力が篭る。
 道曲がって途端、彼女から声を殺して

「本当に気づかなかった?」と聞かれたのだが、男のほうは正直分からないままだ。不審者か、ストーカーがいたかと尋ねると引きつった顔のまま男の詰問を否定する。

 玄関についてようやく、彼女は顔面蒼白のままに口を開いた。

「体育館の外階段に、オカッパの女の子の首が置かれていた」

 その首は外階段の踊り場にあったそうなので、念のために、踊り場に向けて横からにゅっと出している悪質なイタズラとかではないかと尋ねてみたが、そんなわけがないと強く否定された。
 曰く、首は垂直に出ていて、体は階段の踊り場を突き破ってぶら下がっていないと無理な向きにあった、つまりは真正面を向いた首であったのだという。

 

 二日ほどたって、カンカン照りの真っ昼間にその道をもう一度二人で通ることにした。その体育館は事故物件として知られるものではなかったし、彼女が見た生首というのも、街灯や防犯カメラの光の関係でそう見えただけだと安心したかった。しかし、やはり昼間であれ、そういう道を確かめようという意図を以って通るのはやめるべきなのだと後悔した。

 生首に見えそうなライトはおろか、そもそもその体育館に外階段などなかった。


 後日、このことを知人に話したところ、恐らくそれは生首だったのではなかったのだろうと言った。そのとき、体もついていた女が浮いていたのだろうが、首から下は見えてはならない状態だったので、脳が勝手に「外階段があったから首から上だけが見えていて不自然ではない」と保管したゆえであろうという解釈をくれた。

 そのときあったものが実際にどのようなものだったか、彼女が見たものはどのような姿形をしていたのかは知るすべもないし、確かめようとは思わない。いずれにしても、それ以来、暗いときはそこを通るのはやめるようにした。

 

 

 


この話は、怖い話をするツイキャス「ザ・禍話第二十二夜」での話を文章化したものです。文章化するにあたり、一部内容・表現を再編集しています。

https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/634926948




【ゲームの話】実はもう既に戦国無双に愛姫はいるのではないか?

 皆さんこんにちは、のづです。
 突然ですが皆さんは「リアルシャドー」という言葉をご存知でしょうか?
これは板垣恵介氏の長寿格闘漫画『バキ』シリーズに登場する言葉で、「対戦相手を想像して動くシャドーボクシングを、極限まで緻密に思い描くことで、実戦と同様の効果を得る」というものです。
f:id:notturia:20200810135359p:plain

実際に主人公の範馬刃牙は、殴られるイメージを極限までリアルに想像することで実際に身体にダメージが加わる(血が出たり、衝撃で体が飛ばされたりする)ほどであり、ケレン味の効いたこの技『刃牙』シリーズの世界観を彩る要素となっています。

 イメージしただけで怪我を負ったり、他人にまで自分が想定している対戦相手を見せたりする…一見して現実的でない話です。しかしながら、現実でも起こりうるのです。何を言っているのか理解に苦しむことかと思いますが、結論から申し上げますと、このリアルシャドーの理論に基づけば、戦国無双に愛姫はいるのではないかという話です。


まずはこちらをご覧ください。
f:id:notturia:20200809164854j:plain

 コレはイラストレーターの原田みどりさんが描いてくださいました「戦国無双に愛姫がいたとしたらこんなデザインだろう」という主旨のもとに生まれたキャラクターです。
もともとコレはイラストレーターの日本円氏が「戦国無双に愛姫がいたとした…」という想定のもとに描いてくださいましたものです。

f:id:notturia:20190806213424j:plain

こうして見比べると原田先生作画の愛姫は少女性が感じられ、日本円氏の愛姫はクールさ、鋭さを感じさせる差異が見えてきます。


続いてこちらの2枚を。

f:id:notturia:20200501180314j:plain

f:id:notturia:20200810122722j:plain

相互フォロー状態のお二人が描いてくださった愛姫です。驚くべきは私と相互フォローにありますが、このお二人同士は繋がりがないことです。つまり、お二人が少なからず愛姫に対しての(絵を描くだけの)動機(モチベーション)*1を抱いてくれていた、ということになります。

加えてこちら…
f:id:notturia:20200810131749j:plain
f:id:notturia:20200810162252j:plain
とうとうフォロー外の方まで…!!

更には

有志の方によるイメージドリンクまでも。イメージドリンクですよ。コラボメニューすら先行して考案されてる状態ですよ。しかも有志。

これだけ多くの方が描く戦国無双の愛姫」を、いないとする方が不自然なのではないでしょうか??















コロナに効く特効薬は見つかっていないけど、俺を救う手段は明らか。助けてくれ…



*1:今回は冒頭に刃牙ネタを入れたから、漢字にカタカナ語のルビを振りたくなった

トランスフォーマーの新時代が来たかもしれない話

皆さんこんにちは、のづです。
今日は先日Netflixで独占配信が開始したアニメシリーズ、「トランスフォーマーWFC(ウォーフォーサイバトロン)トリロジー 第一章『シージ』」(以下『シージ』)について語ろうと思います。
f:id:notturia:20200805203055j:plain



1,原点回帰と革新〜トランスフォーマーは「ロボット玩具のアニメ作品」であるということ〜
 何よりもまずこの作品の予告編が公開された際に話題となったのは、映像に先駆けて販売された玩具版の再現度の高さです。
例えばトランスフォーマーの顔役であるオートボット(サイバトロン)の総司令官オプティマス・プライム(コンボイ)の玩具版はこんなデザイン。
f:id:notturia:20200805191825j:plain

全体として現代的なスマートなシルエットですが、各デザインは初代トランスフォーマー(通称『G1』)を彷彿させる「古き良き」「ハズレのない」デザインです。

f:id:notturia:20200805211920j:plain
G1コンボイ。日本版のCVは今回の『シージ』や実写オプティマスと同じく玄田哲章氏。

対して、本編で動く姿はこんな感じ。
f:id:notturia:20200808205611j:plain
f:id:notturia:20200805191802j:plain
f:id:notturia:20200808211857j:plain

 腕や背中に板状パーツがあることが分かります。玩具版では「ガワ」と呼ばれる車両形態時の外装に当たるパーツで、見栄えが悪くなる、変形が単純で妥協した設計であるために生じる余剰と見なすなどの理由から、「ガワ」は極力少ないほうが良いという暗黙の了解があります。
今作のオプティマスプライムは玩具版の時点でかなりスマートに変形しています(この玩具は向こう10年トランスフォーマーブランドを牽引しうる傑作と呼び声が高い)が、腕と背に「ガワ」が存在します。この程度の「ガワ」はもはや気にするまでもないのですが、『シージ』においてはこの「ガワ」すらもデザインとして本編のCGモデルでもオミットせずに描いているわけです。
 映像が玩具のほうにデザインを寄せる(制作は並行して行われていたのかもしれませんが、我々消費者の手元に届く順番として)は些末なようですが実は大変に画期的で、玩具版の再現度も後追いでグンと高めてくれているのです。玩具と映像でのデザインの乖離は特に実写版で顕著で、かつて実写映画1作目が作られた際に中々玩具製作サイドにも資料が降りてこず、初期デザイン案から四苦八苦して商品開発をしたというタカラトミー社の苦労を思うと、この「玩具の方に映像が寄せる」という気遣いがどれほどありがたく、またタカラトミーに敬意を表した采配であるか伺い知れます。
 トランスフォーマーとはロボット玩具のアニメーションなのであり、それを現代の技術で最大限「映像の側」から寄せる姿勢に、強い感銘を受けるわけです。



2,現代ナイズされた、「今ドキの若者」バンブルビー

 トランスフォーマーは30年以上の歴史を持ち、数多くの作品が作られてきましたが、(無論例外はあれど)大筋として
「サイバトロン星(セイバートロン星)に住む金属生命体は正義の軍団オートボット(サイバトロン)と、悪の軍団ディセプティコン(デストロン)が、母星で始めた戦争を地球に持ち込み、地球を舞台に飽くなき戦いを繰り広げる」
という有り体に言ってしまえば、非常に古典的な善悪の二項対立なわけです。『シージ』もその型を踏襲しつつも、35周年を超えて新たな原典にならんとする高い志が伺えます。
 例えば物語が幕開く冒頭シーン、『G1』ではエネルゴン(トランスフォーマーにおける燃料にして食料のようなエネルギー源)を盗もうと潜入任務を行うバンブルビー(和名バンブル)とホイルジャックの二人から始まりますが、

f:id:notturia:20200806182443j:plain
左、ホイルジャック。右、バンブルビー

『シージ』の冒頭もこの二人が、同様にエネルゴンを求めて潜入する
f:id:notturia:20200806204713j:plain
という字に起こせば完全に同じシチュエーションなのですが、だからこそ2作品の差異、すなわち『シージ』が目指すものが明確に表現されているわけです。
こと注目すべきはバンブルビーのキャラ付です。
 『G1』でのバンブルビーは、オートボットの中でも(比較的人間に大きさが近い)小型な戦士ということもあり、地球人のキャラクターの相棒という人懐っこい性格です。オプティマスに対しても敬愛の念を抱くハツラツとした若者(もっと言うと日本語版は少年然とすらしていました)で、変形するのが丸っこいVWビートルということもあり、馴染みやすく愛されるキャラクターでした。
 対して『シージ』版のバンブルビーはどうかと言うと、生い立ちや立ち振る舞いからして全く異なります。もともとレースが盛んな「スピーディア」なる星で興行に熱中していたバンブルビーでしたが、戦争が始まるとそれらもすべてなくなったために行き場を失います。そして物語冒頭のようにエネルゴンハンター(シーズン1の後半にはマフィアのような独自勢力を持つとある人物と繋がりがあることも描かれます)として無気力に生きるようになるのです。*1

f:id:notturia:20200808190224j:plain
気が付きゃバンブルビーといえばこの人!みたいになってる木村良平氏によるちょっとスレた若者感が凄くいい。

 アメリカ経済の細かな事情や教育事情は分かりませんが、格差は日本より顕著で深刻と聞きます。日本においても近年「半グレ」などという言葉が生まれるように、社会での居場所を失い、犯罪に手を染めざる他ない若年層が洋の東西を問わず存在するのは想像に難くありません。*2全世界的な傾向であるとするなら暗澹たる気持ちにもなりますが、日本での教育格差が顕著になってきた昨今、アメリカ発の作品でこのような描写のキャラクターが、それもトランスフォーマーでも屈指の人気を誇る*3バンブルビーに背負わせるというのは、否が応でも注目してしまう要素ですし、Netflixという大人が視聴する前提の媒体で展開される『シージ』ならではのキャラ設定と言えるでしょう。
 物語冒頭から登場するバンブルビーの姿は、そういう大人達の社会を信じられなくなった(しかし変えようとする意志も知識もない)若者と重なって映ります。そしてこのバンブルビーの視点は決して「冷めたやる気のない若者」と若者責任を押し付けて良いものではないのです。



3,硬い意志か、老害か。これで良いのか司令官!?

 『G1』のオプティマスプライム…というよりも我々日本人が呼び慣れている呼び方でなら「コンボイ司令官」は強い正義心を持ちながら、その正義感の強さゆえに頑固な側面を持っている人物像でした。しかしハイテンポに進む物語や、敵の攻撃を食らえど次のシーンでは元気に反撃するようなお約束的な範囲内での戦いであったために、この特性も「そういうギャグの一環」程度に受け入れられるレベルのものでした。(なお、映画版では冒頭シーンから今までならば「おっと痛てて」程度で受け流していた攻撃を食らって既存キャラクターが惨死しだして完全に観客の虚を突いてきたわけですが…)
 『シージ』でのオプティマスも高い理想を持ちながら、周りの制止*4も聞かずに無茶な作戦を断行したり、そもそも実在するのかも疑わしい伝説上のアイテムを求める探索に自ら出かけたり(しかもそのきっかけが早とちりと来たもんだ)と、はっきり言って人の上に立つ器なのか疑わしくなるほどです。投降する敵を信じて受け入れる度量はあるものの、『シージ』は紛争の末期を重々しく描いており、オートボット戦士は満身創痍、ホログラムで隠した本部基地の中では傷病者だらけという状況です。加えてオプティマスは作戦の大目標は達成しつつも、その無謀な作戦の中で仲間たちが戦死していきます(それも名前のある人気キャラクターも結構あっさりと死ぬ)。
 バンブルビーが現代ナイズされたことは上で述べた通りですが、オプティマスは対照的に35年前から貫かれた信念を持つからこそ、頑迷な悩める指導者にも見えてしまっているのです。



4,実はかなり怖いぞ。初代からのエッセンスを表出させたメガトロン

 一方で悪の軍団ディセプティコンの首魁メガトロンはどうでしょうか。

f:id:notturia:20200808085525j:plain
吹替版のCVは大塚芳忠

 命令を聞かぬ部下を殴り飛ばし、造反の疑いがあるものには銃口を向けることも厭わぬ暴力的な顔を持つのは確かですが、敵(オートボット)に対しても自分のもとに来ないかと提案したり、それを拒否されても「誇り高い戦士」と(おそらくは皮肉も込められているでしょうが)一定の評価を下しています。マッドサイエンティストな部下が提案したオートボットを絶滅させる計画も全て聞いて有用性を認めた上で実行許可を降ろさぬ冷静さを持ち合わせているのです。
 では『シージ』は善悪が逆転した世界なのかと言うとそれも違い、メガトロンの狡猾さは物語が進むに従って際立ってくるのです。
 今作のシーズン1は全6話と日本のアニメ1クールの半分程度ですが、その中でメガトロンが大衆を前に喧伝するシーンが何度も出てきます。もともと社会的弱者である労働者階級の出である彼は(恐らく社会的に賢者として見られているのであろう)アルファトライオンという人物に師事する中で政治改革を目指すようになりますが、社会に絶望し師であるアルファトライオン*5を殺害、以降は「圧政による平和を」を標榜してディセプティコンを率いるようになります。今作では今まで以上に「保守派vs暴力改革」という構図が色濃く描かれているんですね。

そんな革命派のメガトロンが戦局を有利に進める中で度々行うのが上記の通り大衆を相手にした演説です。マスメディアを用いた恣意的な情報を、既存の支持者に向けて発信して鼓舞する様は空恐ろしいものがあります。

f:id:notturia:20200808205649j:plain
こんな密度でパネルを出す必要ある!?

もともと『G1』のメガトロンは「ワルサーP38」というナチスドイツが用いていた拳銃に変形するため、メガトロンというキャラクターはもとよりナチスドイツやファシズムといった要素織り込まれた存在と言えます。そう思うと、上の「圧政による平和」もマスメディアの巧みな利用も、作中の効果以上の意味を持って響きます。過去にも知性派のメガトロンは存在しました*6が、「民衆に訴えかける」ことをここまで行う描写のあったメガトロンはいないのではないでしょうか。*7




長々と御託をならべて描いてきましたが、私の感想としてはシーズン1時点では、今後作られるトランスフォーマー諸作品が、常に意識する新たな原典となりうる素晴らしいポテンシャルを持った作品であると考えます。

この記事もそうであるように、用語に対して説明が足りない感はあります。また旧来のファンへの目配せ的な小ネタもあり、100%理解するには予備知識が必要です。しかし思えば『スターウォーズ 新たなる希望』も、事前の解説もないままに用語を多用したあらすじからスタートし、本編を見ていく中で「これはこの世界でこういう位置づけの言葉なんだな」と理解していき、その説明台詞の少なさ故に作品世界に没入できる仕様となっておりました。

『シージ』もあらすじ自体は決して難解なものではなく、見ていく中でその世界に没入できるかと思います。難しく捉えず、渋い世界観を描いた高品質なフルCGロボットアニメ

Netflixに加入して『トランスフォーマーWFCトリロジー』を是非!!






推しがあっさり死んでも耐えろ。

*1:シーズン1前半で多用する「自分は生き残りたいだけ」というセリフが象徴的。

*2:映画見る限り、そういう描写も多いよね

*3:実質的に主人公である実写版の系譜とは言え、自身の名を冠したスピンオフ作品も作られたほど

*4:主に元カノ感がめっちゃ強いエリータ1が呆れきる

*5:顔を隠して登場した際の声が、銀河万丈氏というリッチな配役であるため、今後何かしらの形で再登場しそう

*6:たとえば日本では千葉繁氏の怪演により緩和されて見える『ビーストウォーズ』のメガトロンなどは奸智に長けた悪役である

*7:そもそも「群衆」がいるサイバトロン星での戦いを描いたをここまで丁寧に映像作品自体が稀であるというのもあるが。

【ゲームの話】戦国無双5に参戦する嘘の人物紹介part2

皆さんこんにちは、のづです。

数の上では新型コロナウィルスの第二波と呼んで差し支えない中での(世間では)4連休ということで、中々Gotoと言われても…という方も多いことでしょう。そこで本日も家に居ながらにして平行世界に言った気分になれると評判の本ブログのメインコンテンツ【ゲームの話】です。

 

notturia.hatenablog.com

 

今回はコレの第二弾。前回は紹介できなかった二人の武将と、新モードの紹介をします。

 

 

後藤又兵衛

『反駁する闘士』(cv.三上哲)

f:id:notturia:20200724180436j:plain

黒田家家臣の槍術に秀でた猛将。豪放かつ粗暴な性格ながらに戦略眼を持ち、官兵衛の下でその才を磨く。官兵衛の嫡男、長政と兄弟同然に育てられるが仲違いを起こす。大坂の陣においては、ある一念を胸に圧倒的劣勢の豊臣方につく。

f:id:notturia:20200724180426j:plain

又兵衛は武芸の方に囚われないアクロバティックな動きで一気に距離を詰める強襲を得意とする。



 

本多正信

『神算鬼謀の狩人』(cv,三木眞一郎)

 

f:id:notturia:20200724181634j:plain

家康が若き頃より仕える宿老。柔らかな物腰でありながら、名誉や情よりも合理的な策での勝利を目指すマキャベリスト。実直かつ剛毅で知られる三河武士の中にありながら謀略を厭わぬ姿勢に、敵味方を問わず恐れられている。

f:id:notturia:20200724182158j:plain

杖を主武器とする正信。鷹匠という異色の経歴を持ち、チャージ攻撃では鷹に命じて攻撃を支援させることも可能。

f:id:notturia:20200724180438j:plain

家康に進言をする正信。常に絶やさぬ笑顔の奥にある真意を知る者は少ない。




 

新モード

無限城

1,2,3Zなどで実装されていた無限城モードが大幅リニューアルをして復活。

関ケ原の合戦の最中、突如現れた無限城。妖がはびこるもう一つの戦国乱世の謎を解き、最深部への到達を目指せ。

f:id:notturia:20200724180417j:plain

無限城では鬼などの妖怪が横行濶歩する。他のモードとはまた違った戦い方が求められるだろう。

 

f:id:notturia:20200724180422j:plain

道中にはボスとなる巨大な妖も。人の数倍もある相手に、立ち向かう術はあるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コラーーーーー!!!!

またいつもの虚言じゃあないか!!まったくもって成長がない。

f:id:notturia:20200724183726j:plain

 

そう、大人にならなくては…

 

 

大人になると言えば、子供向け玩具の系譜にありながらシリアスな展開と、洋画のような硬質な吹き替えが期待されるトランスフォーマー WFC(ウォーフォーサイバトロン)シージ』のシーズン1が2020年7月30日からNetflixで独占配信が開始!!

自由と平等を重んじる正義の正義の部隊オートボットの隊長オプティマス・プライムの玄田哲章、圧政による平和を目論む軍団ディセプティコンの首領メガトロンの大塚芳忠をはじめとする実力派声優陣による吹き替え版も同時に配信されます!!

さぁ、この夏はNetflixで一味違うトランスフォーマーを楽しもう!!!


『トランスフォーマー: ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー』第1章: シージ 予告編 - Netflix


『トランスフォーマー: ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー 第1章: シージ』 キャラクター紹介PV - Netflix

 

でもマジでこの新シリーズは傑作になる予感がするので、みなさんNetflixで見ませんか?映画も多いし、バキとかジョジョも見られますよ。

【ゲームの話】戦国無双5の嘘のPV第2弾

皆さんこんにちは、のづです。







おそらく戦国無双5に関する公式からの発表は最短でもTGS(今年は配信のみ)までないだろうし、いつものいきますね。




仁王シリーズのような静かな中でのKTとωforceのロゴがフェードイン&アウト。暗い画面が徐々に明るくなると、ハイペースでセリフと場面が切り替わる映像が映った刃(各映像にフィルターがかかった色調なのと、刃紋が映り込んでいることから分かる)。
武田信玄「行こうねぇ」(川中島の戦い)
上杉謙信「征くぞ」(同上)
織田信長「悉くを…討て」(長篠の戦い)
松永久秀「くぅっふっふっふっふ…!!」(信貴山城)
毛利元就「さて行こうか」(厳島の戦い)
豊臣秀吉「このまま行くでぇ!」(九州平定直後)
島津義弘「張った!」(関ヶ原の戦い前夜)
伊達政宗「出るぞぉ!」(人取橋の戦い)
徳川家康「いざ行かん…!」(関ヶ原の戦い)
明智光秀「敵は…!!」(本能寺の変)
そこで光が反射してカメラが引く。全体像が映ると十文字槍であったことが分かり、赤備えの武者(壮年期幸村)がその槍を取り真っ直ぐ突き出す。
幸村「出陣!!」
ナレーション「待望の最新作、遂に!戦国無双5!!」
タイトルロゴ
青年期幸村が雑兵相手に切り進む映像。大軍の先には不敵に笑う信長。
ナレーション「シリーズ最高のボリューム!!新武将、続々参戦!!」
PV第一弾で既に出た新武将が登場するムービーに若干エコーのかかったセリフ一言の演出が各武将に5秒ほど

notturia.hatenablog.com


山県昌景「誰よりも目立ち、誰よりも強い。それが武田の赤備え」
ムービーは腕を組んで思案する若武者の真田昌幸(青年期)の肩を後ろから軽く叩いて余裕を示すシーン。「まっ、見るのが一番早えわな」と軽い調子で言うセリフも。

細川忠興「悪…悪…悪……この世には、許せぬことが多すぎる…」
ムービーでは信貴山城を光秀と共に見つめるシーン。ここは体験会でも見られたムービー。
notturia.hatenablog.com


後藤又兵衛「圧倒的な劣勢…だから来た!」
ムービーは黒田家から出奔するシーン。夜闇に一人、馬で飛び出す又兵衛。黒田長政と思われる男が天守閣から見つめているが、格好からして特殊モブの可能性大。

吉川元春「毛利両川、鉾の吉川!…ってんじゃあダメっすかね…?」
ムービーでは雨に打たれながら隆景の制止も聞かずに崖下の敵軍目がけて飛び降りる元春。

愛姫「すべては、我が王のために」
ムービーは聚楽第政宗と共に秀吉・ねねに謁見して頭を下げるシーン。書状が置かれているところからするに、葛西大崎一揆後の申し開きだと分かる。


「ではでは…ゆるゆると、行きましょうかのぉ」
飄々とした雰囲気で、戦が終わったばかりの荒れ地を歩いてくる本多正信(cv.三木眞一郎)。アクションシーンでは手にした杖と、口笛で呼ぶ鷹で攻撃をする。
無双奥義皆伝では自身が高く飛び上空から先端に刃の付いた鳥の羽をばら撒く。台詞は「ほれ、啄むぞ啄むぞ」


ナレーション「更に広大になった戦場!戦の流れを読み的確に攻め上がれ!トリニティシステム!」
4系までの2人から、3人一組に増加。OROCHIシリーズのように同じ位置で交代するのではなく、クロニクルや4などのように別々の場所にいる武将を動かせる。例として映されているのは、幸村、信之、昌幸の真田家の三人。

ナレーション「最高の爽快感、一斉攻撃で一気呵成に攻め立てろ!」
今作では武将ごとにアルスラーン戦記×無双にあった突撃(ヤシャシーン)が使える騎兵タイプ、弓か鉄砲隊による斉射を行う砲兵タイプ、神速攻撃(攻撃力が4より落ち、自動回復する専用スタミナゲージを消費する)で他より速い移動が可能な忍者タイプ、傾奇者や荒くれなどを呼び出してその場で周囲にダメージを与える傾奇タイプが存在し、連技ゲージをすべて消費することでそれぞれのスキルを発動できる。例として映像では山県昌景の騎兵突撃、伊達政宗の鉄砲隊斉射、前田慶次の傾奇者を読んでの戦舞いが小窓画面で同時に流れる。


ナレーション「ドラマチックに戦国の世を渡り歩くのはあなた自身!創志演舞!」
要するに流浪演舞だが、各武将と友好度を上げることでこのモードでも使用解禁。使用できるようになった武将には、専用イベントがそれぞれ3-4用意されている。


いつものシリーズテーマソングが流れながら、冒頭の映像の続き。青年期幸村が信長を追い、飛びかかる雑兵を槍で横に薙ぎ払うと、太刀筋から画面が光に包まれてロゴが出る。
ナレーション「無双が贈る戦国大河、堂々出陣!いざ、圧巻の戦国絵巻へ!!戦国無双5!」

トレジャーボックス&PS5同梱版の告知。



PV第3弾は、新武将のまつを演じる坂本真綾による主題歌に乗せてムービーを流すドラマチックPV